今回はそんな
- 「惜しくもあと1点が足りない科目がある」
- 「足切りが救済されるかもと講評されている」
- 「例年の択一式合格基準点と同じくらいかやや下回る得点だった」
そんな受験生が合格発表日までどのような心持ちで過ごしたらよいかまとめてみました。
例年多くの受験生が悩み、ソワソワし、ネット上でお祭り騒ぎになる「救済」。
今年はどんなドラマが待ち受けているのでしょうか…。
社労士試験合格に必要な「合格点」「合格ライン」とは
そもそも、社労士試験の「合格基準点」とはどのような取り決めになっているのでしょうか。
法律上定められている合格点
合格基準については、厚生労働省より、国民に分かりやすい簡易なものとすることが望ましいことから、平成12年度より、出題形式(選択式40問、択一式70問)、過去の合格基準の動向及び他の試験制度の現状を考慮し、次の条件が合格基準点とされています。
参考:厚生労働省サイト
また、合格基準点の「補正」についても、各年度毎の試験問題に難易度の差が生じることから、試験の水準を一定に保つため、各年度において、総得点及び各科目の平均点及び得点分布等の試験結果を総合的に勘案して補正を行うものとされています。
【総得点の補正】
① 選択式試験、択一式試験それぞれの総得点について、前年度の平均点との差を少数点第1位まで算出し、それを四捨五入し換算した点数に応じて前年度の合格基準点を上げ下げする
② 上記①の補正により、合格基準点を上下させた際、四捨五入によって切り捨て又は繰り入れされた小数点第1位以下の端数については、平成13年度以降、累計し、±1点以上となった場合は、合格基準点に反映させる。
③ 各科目の最低点引き下げを2科目以上行ったことにより、例年の合格率と比べ高くなるとき(概ね10%を目安)は、試験の水準維持を考慮し合格基準点を1点足し上げる。【科目最低点の補正】
各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が5割に満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する。
ただし、次の場合は、試験の水準維持を考慮し、原則として引き下げを行わないこととする。
ⅰ) 引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合
ⅱ) 引き下げ補正した合格基準点が、選択式で0点、択一式で2点以下となる場合
出典:厚生労働省サイト
細かくてよく分からん!!となるかもしれませんが、現行の社労士試験はこうした決まりの元、総得点及び各科目の補正が行われています。
ただし、令和3年度の選択式労一及び国年のように、近年このルールを逸脱するような救済が行われる事例も出てきましたので、本当に救済に関しては神のみぞ知るで「過度な期待をせず待つしかない」といったところでしょうか。
例年発表されている合格点・救済科目の推移
更に、現行の社労士試験制度になってからの合格基準点及び救済科目の概要についても見ていきましょう。
年 | 択一式試験 | 選択式試験 | 合格率 | ||
---|---|---|---|---|---|
総合・ 合格 基準点 | 科目別必要最低得点 | 総合・ 合格 基準点 | 科目別必要最低得点 | ||
3年 | 45点 | 4点 | 24点 | 3点 (「労一」→1点・「国年」→2点) | 7.9% |
2年 | 44点 | 4点 | 25点 | 3点 (「労一」・「社一」・「健保」→2点) | 6.4% |
元年 | 43点 | 4点 | 26点 | 3点 (「社一」→2点) | 6.6% |
30年 | 45点 | 4点 | 23点 | 3点 (「社一」・「国年」→2点) | 6.3% |
29年 | 45点 | 4点 (「厚年」→3点) | 24点 | 3点 (「雇用」・「健保」→2点) | 6.8% |
28年 | 42点 | 4点 (「常識」・「厚年」・「国年」 →3点) | 23点 | 3点 (「労常」・「健保」→2点) | 4.4% |
27年 | 45点 | 4点 | 21点 | 3点 (「労常」・「社常」・「健保」・ 「厚年」→2点) | 2.6% |
26年 | 45点 | 4点 (「常識」→3点) | 26点 | 3点 (「雇用」・「健保」→2点) | 9.3% |
25年 | 46点 | 4点 | 21点 | 3点 (「社常」→1点 「労災」・「雇用」・「健保」→2点) | 5.4% |
24年 | 46点 | 4点 | 26点 | 3点 (「厚年」→2点) | 7.0% |
23年 | 46点 | 4点 | 23点 | 3点 (「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」・「国年」→2点) | 7.2% |
22年 | 48点 | 4点 | 23点 | 3点 (「国年」→1点 「健保」・「厚年」・「社常」→2点) | 8.6% |
21年 | 44点 | 4点 | 25点 | 3点 (「労基・安衛」・「労災」・「厚年」→2点) | 7.6% |
20年 | 48点 | 4点 | 25点 | 3点 (「健保」→1点 「厚年」・「国年」→2点) | 7.5% |
19年 | 44点 | 4点 | 28点 | 3点 | 10.6% |
18年 | 41点 | 4点 (「労基・安衛」・「常識」→3点) | 22点 | 3点 (「労基・安衛」・「労災」・「社常」・「厚年」→2点) | 8.5% |
17年 | 43点 | 4点 | 28点 | 3点 (「労基・安衛」→2点) | 8.9% |
16年 | 42点 | 4点 (「健保」・「厚年」・「国年」→3点) | 27点 | 3点 (「健保」→1点) | 9.4% |
15年 | 44点 | 4点 (「労基・安衛」・「厚年」→3点) | 28点 | 3点 (「労常」・「社労」・「厚年」・「国年」→2点) | 9.2% |
14年 | 44点 | 4点 | 28点 | 3点 (「労基・安衛」→2点) | 9.3% |
13年 | 45点 | 4点 (「常識」→3点) | 26点 | 3点 (「労基・安衛」・「厚年」・「国年」→2点) | 8.7% |
12年 | 49点 | 4点 | 28点 | 3点 | 8.6% |
近年の合格率は6~7%に落ち着き、安定していることが分かります。
救済は圧倒的に選択式に多く、特に社一等社会保険科目に多く行われています。
- 勉強量が点数に労働科目以上に社会保険科目で明確に表れる点
- 労働科目→社会保険科目で学習を進めるため、後半科目の方が手薄になりがち
- 複雑な年金制度や幅広い一般常識対策を苦手に感じる受験生が多い
- 彗星のごとく奇天烈な問題が出される年もある
のように、様々な要因が重なり合い、その年の合格基準点や補正の有無が変わってきていることが分かるでしょう。
【救済待ち】社労士試験合格発表までのオススメの過ごし方
合格と不合格の狭間でがんじがらめにされている状態で、どのような姿勢で合否発表を待てばよいのでしょうか。
少しでも気持ちが楽になる方法について順番に考えていきましょう。
社労士試験勉強を無理なく続けてみる
合否当落線上にいる場合は、合格時の喜びと不合格時の絶望の天秤で気持ちが落ち着かないことが多いかと思います。
そんな時も気持ち薬として、試験直前期ほどではないにせよ、
- 毎日テキストに目を通してみる
- 一日10問でも問題を解いてみる
- 試験の振り返りをしてみる
- 苦手な分野のテコ入れをしてみる
という風に、どちらに転んでも良い程度に軽く社労士試験にかかる勉強をしてみてはいかがでしょうか。
悶々と悩み続けるよりも、手を動かした方が少しは気持ちも楽になるかもしれません。
いったん休憩して好きなことを楽しむ
試験から合格発表まで1ヵ月以上と長い期間に渡ります。
結果がどちらであっても、一旦割り切って趣味やご自分の好きなことをしてみてはいかがでしょうか。
これまで頑張ってきた自分の努力をしっかり認めて、羽を伸ばすことも今後社労士試験勉強あるいは他の目標に向かって走り出すためにも充電期間として貴重なものになるはずです。
各予備校の自己採点を受けてみる
予備校によって、
- その予備校の教材のクセ
- スクールの母集団の出来栄え
- 講師の考え方
によって合格基準点や救済対象科目の予測が多岐にわたってきます。
それぞれのサイトに自身の試験結果を入力し、講評を知ることで、自分の足りない点や合否の予測についても明確になってくるのではないでしょうか。
【自己採点及び講評が見れる予備校一覧】
SNS・2ch・合格予想サイトを覗いてみる
救済や合格基準点は毎年多くの受験生の話題の種になります。
例年TwitterやInstagram、2chでも合格発表日までよく話題に上がってきます。
もちろん全てが真実とは限りませんが、各SNS等も母集団の出来栄えを確認することで、それとなく救済科目も感触が分かってくることもあります。
予備校の相談会に参加又はパンフレットを取り寄せる
試験終了日から一気に各予備校では翌年度の社労士試験に向けてリスタートを切るよう、激しい広報合戦が始まります。
- 予備校か独学か
- 通学かWeb講座か
- 今年と同じ教材か新しく変更するか
- 基本となる教材以外に買い足すか
- どの予備校の模試をどのくらい受験するか
といった点について不安に思う受験生の方も多いと思います。
こうした悩みをじっくり複数の予備校の担当者に相談に乗ってもらい、考えをまとめていく作業も非常に大切になってくるはずです。
今後の進路を見つめなおす
「もし不合格だった場合はもう1年続けるのか」
考えたくはないけれど、直面するかもしれない命題でもあります。
- 勉強時間を捻出できるか
- 家族に認めらもらえるか
- 教材費は工面できるか
- もっと他にやるべきことはないか
- 本当に社労士になりたいのか
- 社労士になったら何をしたいのか
資格試験は自身の時間・お金をふんだんに使用する一種の贅沢品とも言えます。
こうした自分の貴重な資産を対価に目指すのですから、少しでも早く合格し、資格をしっかり活用できるよう、心づもりはしておく必要があります。
まとめ:社労士試験後から合格発表までの1ヵ月を有効活用しましょう!
毎年多くの受験生が社労士試験の救済を望み、1点でも合格基準点の引き下げを期待し、合格発表日まで落ち着かない生活を過ごしています。
そうした気持ちになるのも当然理解できますが、試験日から合格発表日まで1ヵ月ほどのまとまった貴重な時間が捻出できるのも確かです。
ここをどう過ごすかで次のステップで良いスタートが切れるかどうかが決まってきます。
自分がどうにもできないことについては、一旦割り切って、行動しなかったことに後悔することのないよう、有意義な時間を過ごせるよう、考えてみて下さい。
試験に再挑戦する場合、社労士試験合格の最短切符となるおすすめスクールは以下の3つです。教材や講師のレベルも高く、大勢の受験生が以下の3校の模試も活用しています。
いずれのスクールも試験全体の合格率よりも高い合格率を誇ります。
その中でも特に、「資格の大原」は学習量的にも金銭的にも幅広い講座が取り揃えられており、万人にオススメできる資格スクールです。
まずは各社の資料を請求し、自分に合った講座を見つけるところからスタートしてみましょう。