今回はこんな方に向けた記事になります！
- 「『わたしの幸せな結婚』が好きである」
- 「『わたしの幸せな結婚』キャラクターの個性や性格、振る舞いの違いを詳しく見たい」
- 「『わたしの幸せな結婚』キャラクターの性格を知ることで、物語の世界観をより深く考察してみたい」
- 「そもそも、性格分析やMBTIがめちゃくちゃ好きである」
- 「アニメ・ゲーム・小説キャラの性格診断を活用して他者分析のスキルを高めたい」
大人気作品「わたしの幸せな結婚」とは？あらすじ・世界観まとめてみた！
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
「わたしの幸せな結婚」は日本の明治・大正期に準じた帝都を舞台に繰り広げられる「和風シンデレラストーリー」です。
実家で使用人当然に虐げられてきた斎森美世が婚約者である久堂清霞と出会い、戸惑いながらもお互いの感情を重ね合わせながら成長していくストーリーに共感を覚える読者が続出。
2023年にはシリーズ累計発行部数が700万部を突破しており、原作の小説だけでなく、漫画化、アニメ化、さらに映画実写化まで成し遂げるほどの人気作品として、飛ぶ鳥落とす勢いがあります。
各キャラクターの緻密な描写に加え、「和モダン」＋「『異形や異能者同士の戦い』というファンタジーな世界観」が単なる恋愛ものとしてこの作品を終わりにせず、手に汗握るバトル要素までふんだんに楽しめるところが、人気に拍車をかけているのでしょう。
タイトルを見て分かるとおり、美世と清霞が結ばれ、幸せになることは明白ではありますが、その結果に至るまでに予想外の波乱万丈な展開が目まぐるしく続いており、まだまだ目が離せそうにありません。
登場人物の性格診断、キャラクターの分析・考察に優れた「MBTI」とは
今回「わたしの幸せな結婚」登場人物達の性格診断及び性格分析を行うMBTIは、世界3大心理学の1つ、ユング心理学に基づいたセオリーで、世界中で活用されている極めてメジャーな手法になります。
- 「思考（Te,Ti)」
- 「感情（Fe,Fi)」
- 「感覚（Se,Si)」
- 「直観（Ne,Ni)」
この①から④までの心理機能を得意なものから不得意なものにかけて4つ並べることで、全部で16タイプの性格に分類・説明できるとされています。
MBTIにおける各16タイプの性格・特性については以下のとおりです。
1. NT型：理論家、分析家（Rational）
- INTJ（Ni-Te-Fi-Se）：立案者、建築家（Mastermind）
- INTP（Ti-Ne-Si-Fe)：建築家、論理学者（Architect）
- ENTJ（Te-Ni-Se-Fi）：陸軍元帥、指揮官（Fieldmarshal）
- ENTP（Ne-Ti-Fe-Si）：発明家、討論者（Inventor）
2. NF型：理想家、外交官（Idealist）
- INFJ（Ni-Fe-Ti-Se）：助言者、提唱者（Counselor）
- INFP（Fi-Ne-Si-Te）：治療者、仲介者（Healer）
- ENFJ（Fe-Ni-Se-Ti）：教師、主人公（Teacher）
- ENFP（Ne-Fi-Te-Si）：優勝者、広報運動家（Champion）
3. SJ型：守護者、番人（Guardian）
- ISTJ（Si-Te-Fi-Ne）：調査官、管理者（Inspector）
- ISFJ（Si-Fe-Ti-Ne）：保護者、擁護者（Protector）
- ESTJ（Te-Si-Ne-Fi）：監督者、幹部（Supervisor）
- ESFJ（Fe-Si-Ne-Ti）：供給者、領事官（Provider）
4. SP型：職人、探検家（Artisan）
- ISTP（Ti-Se-Ni-Fe）：工芸家、巨匠（Crafter）
- ISFP（Fi-Se-Ni-Te）：作曲家、冒険家（Composer）
- ESTP（Se-Ti-Fe-Ni）：発起人、起業家（Promoter）
- ESFP（Se-Fi-Te-Ni）： 演者、エンターテイナー（Performer）
【MBTI】「わたしの幸せな結婚」キャラクターの性格診断・分析・考察
それでは、以上のMBTIの手法を踏まえて、「わたしの幸せな結婚」キャラクター達の性格診断を行っていきましょう！
あなたの知らない登場人物たちの一面が見えてくるかもしれません…!
1. 斎森美世 : ISFJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
斎森美世は本作の主人公かつ正統派のヒロインで、非常に我慢強く気配りのよく出来る、心優しい性格をしています。
使用人を下回るような斎森家での厳しい環境下にあって、他者の感情の機微や一挙一動については敏感に察知できるものの、日々の暮らしへの絶望から自身の欲求や希望がすぐには表現できないくらい自我を抑圧する姿が多々見受けられます。
清霞が斎森家に相応の報いを与えてからも、見鬼の才がなく淑女としての教育が不十分な身の上等から、過剰に自己肯定感が低い傾向にあり、最愛の婚約者である清霞に対してもなかなか自身の気持ちを伝えられず、何度もすれ違って後悔することも。
そんな奥ゆかしく現実的で、人の気持ちが分かるからこそ人から距離を置きがちである美世ではありますが、清霞や周囲の温かさに触れると同時に「夢見の巫女」としての責任感を得たことで、非常に勇敢で芯の強い女性へと成長していきます。
誠実で大切な人達を守るための強さを秘めている斎森美世は、内向的感覚（Si）及び外向的感情（Fe）が優位なISFJと判断します。
【斎森美世の特徴】
- お淑やかで周囲から一歩引いて献身的に尽くす、大和撫子かつ良妻の鏡のような性格（Si-Fe）
- 斎森家で継母と異母妹（共にESTJ）に存在を貶され、否定され続ける毎日を過ごしてきたため、将来に対して悲観的で、何事に対してもネガティブでおどおどとした人格が形成されてしまった（劣等Ne）
- 対甘水戦で繰り返し見られるように、周囲が危険な目に遭おうものなら、自身の身を犠牲にしても厭わないほどの献身性と深い思いやりに満ちた行動を取る（Si-Fe）
- 清霞の母、芙由（ESTJ）からは家格が釣り合わないと執拗な嫌がらせを受けるが、それでも自身の信念や誠意を理解してもらえるよう、繰り返し対話を求める根気強さを見せ、遂には婚姻を認めさせることに成功した（Si-Fe）
- 夢見の力が顕現した後は、歴代の夢見の巫女たちのように、多くの民のために自身の力を使うのではなく、自身の器に合わせ、自分の大切な人を守ることに使用したいと望んだ（感覚＞直観）
2. 久堂清霞 : INTJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
久堂清霞は異能者たちの頂点に君臨するほどの名家「久堂家」の当主であり、若くして帝国陸軍の対異特殊部隊の中でも立身出世を果たすほどの実力者です。
異能に優れるだけでなく、頭脳明晰かつ容姿端麗ときて、人々が求める全てを持ち合わせているような彼ですが、恋愛や結婚に対して頓着しない「朴念仁」で、自身の理想にそぐわないお見合い相手を泣かせたことは数知れず。
「冷酷無比な孤高の美男子」としての噂が独り歩きしている清霞でしたが、誠実で他人のために一生懸命な美世の姿と壮絶な過去に胸を打たれ、徐々に彼本来の優しさを見せるようになりました。
一度信頼し、心を開いた相手には驚くほど深い愛情と慈しみを示す清霞。なかなか清霞への愛情を上手く表せない奥手な美世の心にもじっくり寄り添います。美世の不安や不調にもすぐに気づき、その度に彼の不器用ながらも丁寧に心のこもった対応を行う姿が見られます。
超然としたエリートである一方で、大切な人のことは自身の全てをなげうっても守ろうとする久堂清霞は、内向的直観（Ni）及び外向的思考（Te）が優位なINTJと判断します。
【久堂清霞の特徴】
- 常に冷静で動じないクールな性格。帝大卒で非常に頭も切れ、常に先手を打って情報収集を行い戦略を立てるそつのなさを見せる。出世も早くリーダーとしての素質もあるが、本人の独白によると人を率いるより自分一人で行動することを好むとのこと。陸軍という旧態依然とした上下関係の厳しい組織も自分に合わないと感じており、美世との結婚を機に退役することを決める（Ni-Te、補助Te）
- 自身の恵まれた家柄や実力を鼻に掛けない。慣習等に対しても割と寛容で、実の両親に対しても辛辣な対応をする。自身の恋愛面における「冷酷無比」という悪評やとうが立っている事実もさして気に留めていない様子。パーティー等集まりを好まず、自宅も落ち着いた郊外に構える（主Ni＞補助Te、内向型）
- 気位が高く、苛烈で豪奢な淑女である母親（ESTJ）が原因で恋愛や結婚に嫌気がさしていた。両親が用意する縁談は名家の淑女ばかりだったが、彼の理想を満たす者はなく、全て短期間のうちに断っている。端麗な容姿に魅かれて近づく女性にも興味を示さなかった（Ni-Se軸、劣等Se）
- 厳しさが目立つが、本来は他者に共感できる優しい性格の持ち主であり、美世に対してはもちろんのこと、使用人のゆり江のことも大切に扱う。部下の五道に対しても、父親が死亡した件で間接的に罪の意識を感じ、望まない対異特殊部隊への入隊を決めるといった人間らしい情も垣間見える（代替Fi）
3. 斎森香耶 : ESTJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
斎森香耶は美世の異母妹で、大人しく控え目な姉とは異なり、華やかで如才なく物事をこなし、年上の人間からも可愛がられるような社交性を有しています。
見鬼の才を持つだけでなく、女性の異能者では珍しく術式まで扱える才色兼備の香耶。しかし、姉の美世に対しては常に人を人とも思わないような極めて悪質で残忍なやり方で、美世の自尊心を傷つけ続ける悪女の面も持ち合わせていました。
こうした香耶の行動は「出来損ないの美世と違い、常に完璧でいなければいけない」という母香乃子（ESTJ）の脅迫じみた厳しいしつけに由来するものでした。
そう考えると香耶自身も母親の一方的な恨みによって洗脳され、歪んだ人格形成を施された被害者と捉えることが出来そうです。だからこそ一連の斎森家の事件が済んだ後には彼女は奉公先で一から鍛え直され、更正の可能性を与えられたのでしょう。
可憐で気が強く、淑女としての努力も怠らなかった悪女、斎森香耶は外向的思考（Te）及び内向的感覚（Si）が優位なESTJと判断します。
【斎森香耶の特徴】
- 淑女然とした外見や振る舞いをしっかり身に着けている優等生的なタイプ。両親からも溺愛されて育ったため、プライドが高く、常に自分が正しいといった自信たっぷりな行動を取る（Te-Si）
- 両親から愛されている一方で、母香乃子（ESTJ)からは徹底的に姉美世を超え、優れた女性になるよう歪んだしつけを受け続けており、それが原因で美世を見下し傷つけることが当たり前だと考えるようになった（主機能Te、劣等Fi）
- 美世と仲の良かった幸次（INFP）の婚約者になった際には、心優しく強い主張の出来ない彼を都合のいいように使っていた。また、清霞に一目ぼれした際は、目的が一致した幸次の父と手を組み、徹底的に自身の目的を果たそうとした（主機能Te）
- 見鬼の才があるだけで十分な女性の中でも、珍しく術式が使用できるほどの努力家でもある。厳しい奉公に出された後も、困難に折れることなく達成感に満ちた生活を送っていることを美世宛の手紙に記すなど、心身共にタフで上昇志向に溢れた性格が伺える（Te-Si）
4. 辰石幸次 : INFP
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
辰石幸次は斎森家とも仲の良い辰石家の次男で、美世と香耶とは幼馴染の関係性です。
穏やかで優しい性格をしており、斎森家で虐げられ、一人外で掃除をしてポツンと過ごしている美世に対しても、温かく声をかけ、見守る様子が見受けられます。
幸次は真面目でひた向きな美世を自分が守りたいと考えており、美世との結婚を心の底で望んでいました。
自身の父と婚約者香耶の黒い計画を知ると、その計画が達成すれば自分が美世と結婚出来るにもかかわらず、幸次は美世の本当の幸せを優先して懸命に恋敵の清霞に助けを求めます。
そして事件後には、自分の力だけでは最愛の人を守れない現実を直視し、異能の修行に旅立ったのでした。
土蜘蛛の足事件の際には見違えるほど立派になって再登場し、周囲からもまだまだ成長の可能性を期待される辰石幸次は、内向的感情（Fi）及び外向的直観（Ne）が優位なINFPと判断します。
【辰石幸次の特徴】
- 斎森家の人間のように実力や社会的な格付けで人を判断しない。その人の人となりを尊重し、丁寧に対応する好青年（Fi-Ne）
- 苦しい中でも懸命に生きる美世と結婚し、守りたいという恋心を持つ。その想いの一方で、気の強い香耶の尻に敷かれたり、家のことを牛耳る野心家である父親にもなかなか対抗出来ない等、優しさゆえの行動面での弱さが垣間見える（Fi-Ne、劣等Te）
- 美世を守る願いは叶わなかったが、その根本の原因である自身の弱さを克服するため旧都で修業し、異能者としても人間としても大きく成長して戻ってきただけでなく、かつての恩人清霞のピンチをも救った（Fi-Ne、Teの発達）
- 清霞との婚姻を望んで美世に非人道的な行いをした挙句、夢破れて自暴自棄になる香耶に対して、初めて怒りを露わにし、自身の行いを改めて償うよう諭した（Fi-Te軸、主機能Fi）
5. ゆり江 : ISFJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
ゆり江は清霞の邸宅に努める唯一の使用人で、久堂家に来て恐縮ばかりしてしまう美世と、不愛想で言葉足らずな清霞の橋渡し役を務めました。
働き者かつ気配り上手な性格で、嫁入り道具もろくに持たず、心身共に新しい生活で苦労する美世のことを陰に日向に支えます。
誰に対しても笑顔で穏やかに接しますが、相手のことをよく見ており、美世の斎森家での苦労もそれとなく察していました。
また、清霞の邸宅で働く前には久堂家の本邸で務めていたようで、気位が高く気に入らないことがあるとすぐに怒る芙由のことも静かにいなすなど、時折見える厳しさが印象的です。
実の両親に対して不満の多い清霞も葉月も、温かく誠実なゆり江のことを信頼し、育ての親のように大事に接しています。
そんな良心のかたまりのような存在であるゆり江は、内向的感覚（Si）及び外向的感情（Fe）が優位なISFJと判断します。
【ゆり江の特徴】
- よく気が利き、コミュニケーションが難しい相手の心を汲み取り、真心を持って丁寧に接することができる女性。美世と清霞のよき理解者。久堂家にも長く務めており、信頼されている（Si-Fe）
- 宮城での女子会の発言頻度は、葉月（ENFP）＞薫子（ESFJ）＞堯人（INFJ）＞ゆり江＞美世（ISFJ）の順でなされたとされている。身分の差はあれど、相手の様子を温かく見守る姿が目立つ傾向にある（内向型、Si＞Fe）
- 穏やかで優しい笑顔が目立つが、常識的な厳しさを示すことも。人を良く観察しており、相手のことを思って短所についてもしっかり伝える場面が見られる。（Si-Fe）
6. 五道佳斗 : ENFP
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
五道佳斗は対異特殊部隊で清霞の右腕として活躍する青年です。間延びしたような緩い発言やおちゃらけた行動など、ムードメーカーな一面が目立ちますが、清霞に自身の後任を望まれるだけあって術者としても軍人としても非常に優秀な人物です。
なかなか人を寄せ付けない剣呑なオーラを放つ清霞（INTJ）に対しても、懐っこく絡んでいったり、清霞が悩みを抱えていることもよく見抜いて的確に手助けするところからも、五道の人間としての器の大きさを感じます。これがよく言われるINTJ×ENFPマジックなのでしょう。
いつも明るく難しい局面を乗り越えていく五道佳斗は、外向的直観（Ne）及び内向的感情（Fi）が優位なENFPと考えられます。
【五道佳斗の特徴】
- 軍人らしくない陽気なムードメーカー。怖いもの知らずで清霞にも軽口を叩いたり、彼の前で平気で美世のことも口説こうとする。その一方で職場において、口の少ない清霞の一番の理解者で、彼の感情を察することにも長けている。（Ne-Fi）
- 異能者としても軍人としても優秀で、清霞がいない場面では指揮をとってよく働く。五道の父親も対異特殊部隊の隊長として名を馳せていたが、父親の死の間接的な原因が長年の清霞の利己的な行動にあると執拗に責め立てた過去も有している。（代替Te、劣等Si）
- 鋭い洞察力があり、特に他者の感情の機微に敏感。自身の見舞いに清霞への未練を断ち切れない薫子が訪れた際には、薫子の嫉妬と美世への当てつけのような行動について、2人の表情を見ただけで的確に言い当てた（Ne-Fi）
7. 辰石一志 : ENTP
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
辰石一志は幸次の兄であり、派手な外見と飄々とした食えない態度が目立つ傾奇者のようなところがあります。
異能者としての修行をしていたとはいえ、長らく全国各地を放浪していた過去を持ちます。
そんな一志ですが、辰石家に生まれた自身の異能がさほど強力でないことも理解しており、「解術」に特化した専門家として対異特殊部隊の活動にも大きく貢献します。異能者として生き残るための優れた戦略は、彼の地頭の良さと抜け目のなさを明確に表しているでしょう。
当主になってからは、久堂家の庇護下で自身の責務を全うしています。自由人ではありますが、常識をはみ出た行動がどこまで許されるか理解したうえで振舞う、一志の賢さが見え隠れします。
自身の底を見せず、華麗に立ち回る辰石一志は、外向的直観（Ne）及び内向的思考（Ti）が優位なENTPと考えます。
【辰石一志の特徴】
- 自由に振舞いながらも、辰石家を継ぐために修行を続けてきた。異能者としての生き残りをかけ、唯一無二の「解術」に特化した術者として名を上げることに成功しているクレバーな人物（Ne-Ti）
- 飄々とした軽やかな性格で、対異特殊部隊でよく顔を合わせる五道（ENFP）を茶化して遊ぶのが楽しいご様子。何だかんだで周囲からは「似た者同士」と思われている。五道は怒って感情的な反応を示すが、一志は冷静で「おもちゃ」の分析に興味津々である（主機能Ne、思考＞感情）
- 国のトップに君臨する堯人の御前に行く際も女物のド派手な羽織を「正装」として着ていく図太さがあり、その手の規則にあまりうるさくない清霞にすら絶句された（Ne-Ti）
- 弟の幸次のことは「浅はかな甘ちゃん」と見ているが、術者として訓練していないにもかかわらず、父親に立ち向かっていった勇気と決意を察し、手助けをする優しさを示す（Ne-Fe）
8. 久堂葉月 : ENFP
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
久堂葉月は清霞の実の姉ですが、朴念仁で孤高の人である弟と異なり、非常に気さくで天真爛漫な温かさを有しています。
着物が主流の文化において、いつも華麗に洋装を着こなし、様々な物事に興味津々な葉月からは大人になっても夢いっぱいの少女のような愛らしさと流行へのアンテナの高さが伺えます。
それと同時に、家族にトラウマを持ち、子女教育をろくに受けてないことに負い目を持つ美世の心の傷を理解し、程よい距離感で接することの出来る繊細さも持ち合わせています。
なかなか互いの感情を上手く伝えることの出来ない美世と清霞の良き理解者であり、持ち前の包容力で2人の橋渡し役となる葉月は、外向的直観（Ne）及び内向的感情（Fi）が優位なENFPと考えられます。
【久堂葉月の特徴】
- 常に明るく、初対面の相手や深刻な状況もものともせず場を盛り上げることの出来るムードメーカー。しかし他人の感情の機微にも敏感で、相手の傷を理解し、受け入れる優しさを持つ（Ne-Fi）
- ファッショナブルかつ教養のある人物で、多様な価値観や情報を積極的に吸収し、受け入れられる女性である。（主機能Ne）
- 美世が口に出さない本心や願いをしっかり理解しており、清霞が新との戦いに敗れて帰ってきた際には、美世の感情に気づけていない清霞に対し、怒りを露わにすると同時に的確な助言を行う（Ne-Fi）
- かつては大海渡と夫婦であったが、重厚かつ伝統的な規則を重んじ、旦那の活躍のために嫁として家事等そつなくこなすことが至上とされる大海渡家の家風（Si優位）と価値観が合わず、精神的に参ってしまったことで離婚を経験している（劣等Si）
9. 鶴木（薄刃）新 : ENFJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
鶴木新は礼儀正しく柔らかな物腰の好青年で、その社交性と高い交渉能力で国と軍を仲介するような重役を任されている人物です。
実のところ、彼の本名は「薄刃新」といいます。そう、美世の従兄弟にあたる存在です。秘匿された一族「薄刃家」は本来暴走した異能者を止める役割を担う非常に重要な立場にありました。
その強大な力故にかえって厳しい制約を施され、かといってあるべき活躍の場も与えられない飼い殺しの日々。新は本来認められうるべき薄刃家の尊厳を取り戻したいという強い信念を有しており、そのためには薄刃最高峰の存在「夢見の巫女」である美世を守り抜くことこそ自身の使命だと確信していました。
美世の清霞への強い愛情を知った後は、彼女の護衛兼教師役として陰に日向に美世のことを支え続けます。
薄刃最大の汚点とも言える甘水直との戦いの際には、新は自身の命を危険に晒し、あえて味方を裏切ってでも「暴走した異能者を止め、人々の命を守る」という薄刃の崇高な理念を守り抜きました。
常にノーブルかつ気高い信念を掲げ、薄刃として人々の平和を守ることを希う新は、外向的感情（Fe）及び内向的直観（Ni）が優位なENFJと判断します。
【鶴木（薄刃）新の特徴】
- 「夢見の巫女」である美世と婚姻し、薄刃家本来の立ち位置を取り戻すことを渇望していた。そのため、清霞の動向や心情を察知し、巧みに交渉・誘導することで、一時は清霞を下し、美世を手にするところまで追いつめた（Fe-Ni）
- 常に穏やかかつ人好きのする笑みを絶やさない。他者の動向に敏感で、誰に対しても優しく手を差し伸べる人格者である。交渉事にも優れており、国の中枢からも何かと重用される。他者の感情を尊重する一方で、自身の本心をなかなか見せない底知れなさを感じさせる人物でもある（Fe-Ni）
- 優しく面倒見の良い性格と真面目に物事と向き合う姿勢から、従妹の美世からも慕われる存在である。美世の異能を高めることに貢献した人物であり、丁寧にじっくり指導する姿は、ENFJらしく教師役としても適任である（主機能Fe）
- 甘水の野望と心理的な弱点を的確に理解し、彼を倒すために敢えて懐に潜り込む勇気ある行動に出た。薄刃としての目標を成功させるための高い遂行能力を持ち、そのためであれば自身の命を捨てることすら厭わなかった（Fe-Ni）
10. 堯人 : INFJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
堯人は高齢かつ病弱で政をなかなか行えずにいる帝の代わりに、次期帝候補として国を治める大役を担っている人物です。
国民のことをとても大事に思い、思慮深い行動を取る堯人は、父親である帝の自身の権威ばかりを追い求める利己的な行動を軽蔑しており、父親が乱した政治を正すべく、真摯に人々と向き合う姿が目立ちます。
天啓と呼ばれる未来予知の能力を持ち、神の化身とも崇められる存在に相応しい神々しさと凛とした佇まいを見せる堯人ですが、そうした権威に縛られることなく、政治を正しく進めるためであれば臣下たちにも頭を下げ、民とも一人の人間として温かく言葉を交わす姿が見られます。
既存の慣習や権威に囚われず、民を想い、より良い国の未来のために生きる堯人は、内向的直観（Ni）及び外向的感情（Fe）が優位なINFJと判断します。
【堯人の特徴】
- 常に冷静沈着な立ち振る舞いで、自身の行動や言動が民に与える影響力を理解した行動を取る。そのため、不確実で相手に悪影響を与えるような天啓は軽はずみに口には出さない（Ni-Fe）
- 国のトップではあるが、権威をかさに着ず気さくに他者と言葉を交わすことを望む。宮城での女子会参加など茶目っ気たっぷりである。今でこそ落ち着いた物腰だが、幼少期は感情豊かな少年であったとのこと（直観＞感覚、感情＞思考）
- 帝に迫害されてきた薄刃の本来の在り方を理解しており、その地位向上のための援助を惜しまない。また、対甘水戦の際には早期の問題解決のために、臣下の反感を買ってでも慣例に則らない対応を推し進めた（Ni-Fe）
- 朴念仁な幼馴染、清霞以上に清霞の持つ美世への恋心や大切な想いを理解しており、そんな感情に疎い清霞のために呆れながらお節介を焼いてあげることも
（巨大お布団事件）（Ni-Fe）
11. 久堂正清 : ENFP
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
久堂正清は清霞の父親であり、前久堂家の当主でもあります。そんな偉大な存在ですが、以外にも明朗でお茶目な一面の目立つ人物です。
清霞からは家族を、特に過激な母親の行動を放置していたと恨まれる正清ですが、正清自身も本心から後悔をにじませる描写が見受けられます。
というのも、正清は強い異能の力を手にした反動で酷い虚弱体質となってしまい、普通の生活を送るのもやっとの中で久堂家当主の大役を務めなければなりませんでした。
そのため、家族に深い愛情を感じていたとしても、それを行動で示すだけの体力がなく、そのため彼が絶対の信頼を置く妻、茉由に家のことを一任するしかなかったのでしょう。
物語が進めば分かる通り、正清は妻の茉由と異なり家柄や実力を気にしないオープンな性格で、清霞と釣り合わないと不安がる美世の感情を理解し、温かく迎え入れ、感謝を示す様子が見られます。
度の超えた妻のツンデレに隠された本心を読み解き、全てを受け入れ慈しむほどの心の広さを持つ久堂正清は、外向的直観（Ne）及び内向的感情（Fi）が優位なENFPと考えられます。
【久堂正清の特徴】
- 美世との初対面の際は、虚弱体質で失敗するが、サプライズで来訪しようとする茶目っ気を披露。明るく他者との会話や冗談を言い合うことを好む性格であると同時に、相手の価値観や感情を尊重することも出来る人物である（Ne-Fi）
- 広い視野の持ち主で、多くを受け入れることが出来るため、周囲からは敬遠されるほどの性格の持ち主である茉由（ESTJ）とも上手くやっていけている。その反面、その心の広さと個々の価値観を尊重し、過度に干渉しない彼の性格ゆえに、逆に清霞からは放任主義で冷淡な性格だと誤解されている節がある（Ne-Fi)
- 茉由が美世に対して、怒りに任せて相手の尊厳をねじ伏せるような行動をしようとした際には、茉由の行動をはっきり否定し、人道的な立場から間違っていることを指摘した（Ne-Fi）
- 斎森家に縁談を持ちかけたのは自棄。つまり、あまりにも結婚しない清霞の様子にどうでも良くなって投げ出した（運を天に任せた）結果である。より良い淑女をと更に高みを目指して一生懸命相手を探していた茉由とは対照的である（劣等Si）
12. 久堂芙由 : ESTJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
久堂茉由は長らく異能の使い手のトップに君臨する久堂家当主の妻として、家と家族を守ってきた女性です。
淑女として非の打ち所がない存在で、管理能力も高い優れた人物である一方で、その高すぎるプライドと他者の個人的都合よりも格式や見栄を優先する性格から、清霞や葉月といった実の子供からも敬遠されてしまうほど。
当然、家柄も芳しくなく、質素で大人しい美世も茉由の標的となり、使用人同然の扱いを受け、清霞の婚約者となることを激しく拒否されます。
世の中の嫁姑問題と同じように、茉由も不器用ながら息子の清霞のことをこの上なく大事に考えており、そんな息子のために名実共に最高の婚約者を用意しようと躍起になっていたのでした。
それなのに選んだのは何の取り柄もない地味な娘、としたら母親である自身が道理を正さなくてはならないと考えるのも当然なのかもしれません。
なんやかんやで美世のことを認めてからも、癖の強いツンデレを披露してくれる久堂茉由は、外向的思考（Te）及び内向的感覚（Si）が優位なESTJと判断します。
【久堂茉由の特徴】
- 淑女の中の淑女であり、家のことにあまり関与できない正清に代わり、女主人としてまとめ上げる有能さを見せる。一方で非常にプライドが高く気が強い。社会的権威や家柄、見栄を指標として物事を判断する傾向にあり、自身の価値基準に合わない他者の感情や価値観を害することがしょっちゅうである（Te-Si、劣等Fi）
- 言うことを聞かない美世に対して怒りに任せて体罰を加えようとした際には愛する夫から厳しく叱責され、激しく落ち込んでしまう一面も見せた（劣等Fi）
- 素直に感情を表現することが苦手で、美世を清霞の婚約者と認めてからはきつく回りくどい言葉だが正論で美世を励ますシーンが多々ある。茉由の思い出のリボンを渡すシーンや、甘水戦前に話す「女の恋の悩み」のくだりは必見の価値あり（Te-Si）
13. 陣之内薫子 : ESFJ
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
陣之内薫子は女性異能者には珍しく対異特務小隊に所属するほどの実力者で、礼儀正しくハツラツとした明るさが目立つ人物です。
夢見の巫女として甘水から狙われる美世が対異特務小隊の屯所にかくまわれている際には、美世の肩身の狭さを察して、同世代の女子として「友達」になりたいと美世のことを愛嬌のある笑顔で受け入れます。
「友達」として美世と親しくする一方で、かつての清霞の縁談相手であり今も清霞を愛する薫子は複雑な恋愛感情を抱えることになります。更に、甘水にも脅しをかけられることで二重に苦しい立場に置かれることになるのでした。
また、それでなくても仲間であるはずの対異特務小隊に所属する男性たちの多くからは「女性だから」と言う理由で差別される日々。
様々な苦悩を抱えながらも挫けず前を向き続ける強さと、他者への優しさを併せ持つ薫子は外向的感情（Fe）及び内向的感覚（Si）が優位なESFJと判断します。
【陣之内薫子の特徴】
- 女性異能者は「強い異能の子を産む」ための存在として見られることの多い風習の中、対異特務小隊に所属出来るほどに異能を使いこなす実力者である。男性隊員を打ち負かすほど厳しい鍛錬を重ねてきた真面目でストイックな一面も。差別的な慣習を黙って受け入れ、努力するタイプ（Si優位）
- 明るく社交的でよく気も利く。誰もやりたがらない屯所の清掃も進んで行うような利他的な人物。かくまわれている美世の緊張を解そうと打ち解けようとする一方で、恋敵として美世の感情を揺さぶるような行動を取ることも（Fe-Si）
- 甘水に家族を人質に取られたと騙され、屯所の結界を解除することで、美世や隊員を危険な目に合わせてしまう。甘水の周到さもあるが、いざという時に感情に流され冷静な分析・対応が出来ない節がある（劣等Ti）
- 美世（ISFJ）とは互いに似た者同士だと思っている節がある（鏡像関係）
14. 甘水直 : ENTP
©2023 顎木あくみ・月岡月穂／KADOKAWA／「わたしの幸せな結婚」製作委員会
甘水直は薄刃家を離反し、人間として優れた存在である「異能者」だけの世界を作ろうと画策する人物で、作中でも長期にわたって美世たちと敵対することになります。
異能者を監視し、世の平定を担う重要な役割を持つ薄刃が、その力に劣る天啓の使い手である帝一族に虐げられ、凡人たちの陰に隠れ息を潜めて生活する現実に耐えられなかった甘水。その抑圧された感情は婚約者の薄刃澄美が、帝の策略で斎森家に嫁がせられることになったことで爆発。
- 「最も有能である薄刃の異能者（夢見の巫女）を頂点とした国を創る」
- 「間違っている、気に入らないものは全て壊し、一から新しく築く」
そんな復習心から生じる非常識な思想を現実とするため、多くの人を傷つけ、人工的な異能者を作成し、帝国を混乱の渦に陥れました。
非現実的な理想を実現するため、大勢を惑わし成功まであと一歩のところまで漕ぎつけた革命者、甘水直は外向的直観（Ne）及び内向的思考（Ti）が優位なENTPと考えます。
【甘水直の特徴】
- 幼少期から猟奇的でサイコパスのような性格をしており、薄刃一族からも疎まれていたが、美世の母であり婚約者澄美の優しさで人の情を知る。そのため、良い意味でも悪い意味でも自身を認めてくれた澄美を特別に想うようになる。（Ne-Ti、代替Feの発達）
- 自身の愛する女性である澄美とその娘である美世に、自身が合理的と考える「新世界」を捧げようと躍起になる。また、そのために他者が傷つこうが一向に構わないと考える（Ne-Feループ）
- 「異能の力」が人間の能力や権威を図る絶対の指標だと考える。そのため、現在国を治める帝一族を追放し、最も優れた異能の使い手である薄刃一族（特に夢見の巫女）が国を治めるために革命を起こした（Ne-Ti）
- 自身も薄刃でトップクラスに優秀な異能の使い手。異能で相手の五感を惑わすだけでなく、切れ味鋭い頭脳を生かして相手を論破することも得意。そのカリスマ性から一般人や一部の異能者だけでなく国の中枢でも甘水に従う者が続出した（Ne-Ti）
「わたしの幸せな結婚」各一族の特徴・相性をMBTIで分析・考察してみた
「わたしの幸せな結婚」において特筆すべき特徴として、「お家」を大事にする文化が挙げられるでしょう。
この風習ゆえに登場人物は、大事に愛を育むだけでなく、大いに人間関係にも翻弄されることになります。
また、その出自は各キャラクター達に多様な価値観や影響を与えていることも、性格分析の観点から無視できないところです。
それでは、主要「わた婚」キャラ達のお家事情について見ていきましょう！
1. 斎森家：xSTJが牛耳る伝統と実力を重視した一族
- 斎森真一：ISTJ（Si-Te-Fi-Ne)
- 斎森香乃子：ESTJ（Te-Si-Ne-Fi）
- 斎森美世：ISFJ（Si-Fe-Ti-Ne)
- 斎森香耶：ESTJ（Te-Si-Ne-Fi）
斎森家の人間の性格的特徴を羅列すると、いずれも内向的感覚（Si）を重用する傾向にあることが分かります。
内向的感覚が優位な人々は、秩序や規律をよく守り、古くから脈々と続く習慣や文化を大切にします。現実的で地に足の着いた生活を送り、安定を得ようとします。
美世の父親である斎森真一は、今でこそ熱い恋仲であった妻香乃子と一緒になっていますが、当初は香乃子を捨て、没落した異能一家である斎森を立て直すために、多額の融資を受ける代わりに薄刃澄美との婚姻を呑むという、非常に堅実な道を選びました。
また、日常生活を見ていても、真一は保守的かつ事なかれ主義な一面が目立ちます。実の娘である美世が継母と異母妹から散々な目に合っていても、一切口を出さず無視を決め込んでいました。実の娘であっても見鬼の才がない無能な人間を助けたところで大した使い道がないのは明白だったからです。
後妻である香乃子はよく夫を立て、実子もそれなりの淑女に育て上げた点から、一般的に考えられる女主人としては優秀な部類に入るかもしれません。もっとも、香乃子にとっての「異分子」である美世に対して歪んだ感情・悪意を持ちすぎていましたが。
内向的感覚（Si）が優位な人物が多いコミュニティにおいて、以下のような悪しき集団心理が働くことがあります。
- 「極めて『ヨソ者』に対して冷淡な対応をする」
- 「不協和音はそれとなく排除しようとする」
前例のある善きものに愛着を感じる傾向があるため、どうしても多様な価値観を受け入れることに抵抗があるのでしょう。
xSTJの性格的特徴を持つ他の斎森家の人間にとって、美世は「異能者」という社会的価値がない点、亡き前妻の娘であり長女であることから、後継者を決める際にも非常に邪魔な存在である点を踏まえると、内向的感覚Siだけでなく、外向的思考Teの価値基準から見ても迷惑極まりない存在でした。
そのため、異能者として劣っているだけでなく別の血が混ざった部外者として、美世は他の家族から異常と言えるほどシビアな扱いを受けることとなったと考えられます。
2. 辰石家：野心家の父の支配から逃れようとするxNxPの息子たち
- 辰石実：ENTJ（Te-Ni-Se-Fi)
- 辰石一志：ENTP（Ne-Ti-Fe-Si）
- 辰石幸次：INFP（Fi-Ne-Si-Te)
辰石家は斎森家と懇意な関係にある異能の一族で、斎森家同様没落しつつある現状に、家長の辰石実は何とか挽回したいと考えていました。
辰石家の復興のため、野心家の実は斎森家に嫁いだ薄刃澄美の力、つまりその娘美世に流れる「薄刃の血」を手に入れることで強い異能の子を産ませようと以前から画策していました。
秘匿された一族、薄刃のことをそれなりに知っており利用しようとする点は、薄刃の人間が手中にありながらろくに生かせない斎森真一と比較すると、明らかに辰石実の方が優れた戦略家であることが分かります。
清霞との婚姻が決まった後に斎森家の事情も気にせず強引に美世を奪い返そうとするあたり、美世を手に入れるためだけにこれまで斎森家とお付き合いしていたのかと勘繰りたくなるところではあります。
そんな力と名誉の虜である父親を持つ息子2人は、明白にその権力に対して懐疑的です。
まず長男の一志は、辰石家を継ぐまで異能の修行と言いつつも、放蕩息子とされるほどには自由気ままな旅を続け、家に寄り付くことは多くありませんでした。同時に一志は非常にクレバーな人物でもあり、ただ闇雲に力や権力を追い求めるのではなく、自身の限られた異能の力を「解術」に一点突破する、スペシャリストとしての道を切り拓きました。
続いて次男の幸次は、他者の価値観や感情を大事に出来る優しさを持ち、父親と異なり人の本質に気づくことの出来る人物です。
人の感情を踏みねじり、自分のいいように使おうとする父親に対して良い感情を抱いておらず、幸次が異能者として訓練をあまり積んでいなかったのは、単に家を継がない次男だっただけではなく、一種の「父親へのアンチテーゼ」もあったと考えられます。力よりも真心を持って接することの方が、美世の苦しみを和らげられると考えたのでしょう。
けれども、異能者として実力のない幸次はいざ美世を救いたいときに、父親にも恋敵の清霞にも全く歯が立ちませんでした。そんな経緯から幸次は異能者として「人を守る」ための力を身に着けるために成長を誓うのでした。
以上のように、異能者としての権力や家格の向上に執着した実の影響で、二人の息子たちは強引な父親に反発し、それぞれの価値観や経験をもとに、より芯の通った独自のスタイルを模索し、見つけることに成功したのでした。
3. 久堂家：国内最高峰であるプライドと個々の個性が光る一族
- 久堂正清：ENFP（Ne-Fi-Te-Si)
- 久堂茉由：ESTJ（Te-Si-Ne-Fi）
- 久堂葉月：ENFP（Ne-Fi-Te-Si)
- 久堂清霞：INTJ（Ni-Te-Fi-Se）
久堂家は異能者を輩出する家柄の中でも名門中の名門で、清霞も先代の正清も術者として抜きんでた才能を発揮しています。
そんな名家の家族たちは、それぞれ別々の場所で生活を送っていることからも分かるように、驚くほどまとまりがなく、独立独歩する様子が描写されています。
大きな理由としては、家を取り仕切る茉由の強烈な人柄によるものもあるのでしょうが、加えて特筆すべき特徴として、久堂家の全員が内向的感情（Fi）の使い手であることが挙げられます。要は、家族という集団の総意をまとめ上げるよりも、個々の価値観を尊重する傾向にあるということです。
まず、正清と葉月は同じENFPとして非常によく似た性格をしています。両者とも陽気なムードメーカーで様々な物事に興味を持つと同時に、常識に縛ることなく、他人の価値観を尊重することの出来る人物です。この二人と美世が久堂家本邸で会話する際には、会話のキャッチボールがあちこちに飛んでいき、和やかな時間が流れていたことが記されています。
一方で、内向的感情（Fi）と対になる外向的思考（Te）が優位なのが茉由と清霞です。
茉由も清霞も合理的かつ客観的な思考の持ち主で、感情よりも社会的な物差しに合った行動を優先する節があります。
茉由が美世を徹底的に拒絶したのはかつての女主人として久堂家の家格を守ろうとしたからであり、清霞もオクツキの排除と薄刃に捕らわれた美世への想いを天秤にかけた際には、異能者としてオクツキから一般市民の命を守る任務を優先する姿勢を見せました。
清霞が母親茉由のことを毛嫌いする描写が目立ちますが、物語の各所でこの母子が似た者同士であることが示唆されています。
茉由も清霞も他人に対して感情を逆なでするような手厳しい姿が強調されていますが、大切な人に対してはとにかく一途で、不器用ながら一生懸命尽くしてくれる一面も持ち合わせています。
個性的でそれぞれが独自の道をひた走る久堂家の面々が、外向的感情（Fe）を持つ美世を中心とすることで、徐々に和解し、まとまりを見せていく様子は非常に興味深いものがあります。
4. 薄刃家：虐げられても挫けることのない理想主義者たちが集う一族
- 薄刃義浪：ISTJ（Si-Te-Fi-Ne）
- 薄刃新：ENFJ（Fe-Ni-Se-Ti）
- 薄刃澄美：INFJ（Ni-Fe-Ti-Se）
- 甘水直：ENTP（Ne-Ti-Fe-Si）
薄刃家は異能者を監視し、暴動を食い止めることが出来るほどの強い異能の力を持つ一族ですが、その強大な力故に多くの制限を強いられ、その制限に見合うほどの活躍の機会も与えられないまま、不当に虐げられる日々が続いていました。
そんな中で現状を打開したいと考える新や甘水のような理想を掲げた人間も出てくるわけですが、当主の義浪は悪目立ちすることで更なる制限を受けることのないよう、冷静に対応しています。もっとも、義浪自身は自分が古い考えの人間であり、もっと薄刃のために何か出来ればと悔やんでいたようですが。
また、今は亡き美世の母、澄美も薄刃のために掟を破ってでも行動することの出来る強い意志を持った人物でした。強い異能の力を維持するため極力薄刃の血を外に出さないようにされてきました。特に澄美は薄刃最強の「夢見の巫女」を高い確率で身ごもるとされるテレパシーの使い手でした。
しかし、夢見の巫女の誕生を阻止しようとする帝の極悪非道な仕打ちによって、薄刃の面々はその日の暮らしすら危うい状況に。そんな中で澄美は一族を救うために自らが犠牲となり、斎森家へ嫁ぐことを決めたのでした。
同時に澄美は娘美世の夢見の力が発現し、帝に狙われ不幸な運命を辿ることがないよう、異能を封印する手段を取ることで、自身の死後も娘と薄刃家の安寧を願うのでした。
さらに、生前の澄美の功績はこれだけではありません。一族の異端児甘水を心から受け入れ、サイコパスのような彼に「人の心」を芽生えさせた張本人でもあります。
澄美が生きていれば、無事に2人が添い遂げていれば、甘水は彼の高い能力と斬新な発想力を薄刃の再興のために存分に発揮できていたのではないでしょうか。IFだと分かっていても惜しいところです。
5. 帝一族：天啓で求めるのは自身の栄華か民の希望か
- 帝：xxTJ
- 堯人：INFJ（Ni-Fe-Ti-Se）
この「わたしの幸せな結婚」で起こる一連の騒動の大半は、帝の自己保身と権力への飽くなき追求から生じていることです。
- 薄刃家を財政的に潰そうとした
- 澄美と甘水の恋を切り裂き、甘水の暴走を引き起こす
- 望まない婚姻から美世と斎森家を不幸に陥れた
全て帝が自身の天啓より強力な力を持つ「夢見の巫女」の誕生を恐れ、阻止しようと躍起になったことから始まりました。
そんな父、帝の悪行を間近で見ていた後継者の堯人は、帝の非常に利己的で浅ましい行動をひどく軽蔑し、早く召されることを望んですらいる様子でした。
堯人は天啓を完全に使いこなせないながらも、民を愛し、父親の乱した政治を正そうと懸命に帝の代理を務めます。彼は神の化身である帝一族の一挙一動の重みをはっきり理解しており、どんな相手に対しても対等かつ丁寧な対応を心掛けています。
そんな自身の感情や希望よりも国民のことを優先できる堯人が帝となった治世を早く見てみたいところですね。
「わたしの幸せな結婚」カップル達の相性・恋愛観の分析・考察してみた
「わたしの幸せな結婚」というタイトルから察せられるとおり、この作品は各キャラクターの緻密な恋愛描写に定評のある作品です。
その各カップル同士の関係性及び相性を見ずしてどうして性格分析・考察が出来るでしょうか。
ということで、特筆すべき5カップルの関係性・恋愛観についてみていくことにしましょう。
1. 斎森美世（ISFJ）×久堂清霞（INTJ）
- 斎森美世：ISFJ（Si-Fe-Ti-Ne）
- 久堂清霞：INTJ（Ni-Te-Fi-Se）
ISFJとINTJは「超自我関係」にあります。心理機能を見て分かるように、二人の物事の捉え方及び考え方は全く異なるタイプといえます。
さらに踏み込んでソシオニクスの心理機能も考慮すると、超自我関係は互いの陰の心理機能（無意識で使用する心理機能で、劣等機能以上に使い慣れておらずネガティブな影響を与える可能性がある）を補う関係性にあります。
互いに自分とは全く違う価値観の持つ相手に対して、神秘的で興味をそそられる対象として認識することでしょう。確かに、美世も清霞も出会った当初は互いの反応や行動の意図が分からず、困惑しつつも惹かれ合うシーンが目立ちました。
また、仲を深めつつある段階でも数々の障壁が発生します。INTJの清霞は口下手な朴念仁であり、ISFJは相手を優先し、自身の心に蓋をしすぎてしまう傾向にあります。
そのため、価値観も異なるうえに、その考え方を伝達するコミュニケーションにも難ありとくれば二人の恋の成就が亀のようにゆっくりであることがお分かりになるはずです。事実結婚するまで小説7巻分も要しました。
周囲の方が二人の秘めたる熱い恋愛感情をよく理解しており、一生懸命二人のお尻をひっぱたきながら進めてくれました。
価値観や物事の捉え方が異なる二人ではありますが、他者に誠実で愛情深い美世はもちろんのこと、大切な人に対してはどこまでも真っすぐで互いの価値観の違いも理解できる清霞は時間をかけて強固な愛をはぐくみ、夫婦になってからもじっくり対話を重ねながらより良い関係性を構築していくことが出来るはずです。
2. 斎森香耶（ESTJ）×辰石幸次（INFP）
- 斎森香耶：ESTJ（Te-Si-Ne-Fi）
- 辰石幸次：INFP（Fi-Ne-Si-Te）
香耶と幸次は完全な御家同士の戦略結婚によって生まれたカップルであり、香耶は清霞に、幸次は美世に対して恋愛感情を抱いていました。
ESTJとINFPは「双対関係」にあたります。つまり、相手の劣等機能が自身の得意とする主機能にあたる関係性で、双方をそれぞれ補い合ってピッタリハマる人間関係とされます。面白いことに、恋愛を自然的に発展させるにあっては最高の関係性と言われる組み合わせです。
当初こそ二人は全く向いている方向が異なっていましたが、斎森家での一連の騒動があってからは、互いに切磋琢磨し合い、正当に努力を重ねる様子が見られます。
全ての禊が済んだ暁には、この二人も互いを信頼し合った本当の夫婦になれるのではないかと期待したいところです。
3. 久堂正清（ENFP）×久堂芙由（ESTJ）
- 久堂正清：ENFP（Ne-Fi-Te-Si）
- 久堂芙由：ESTJ（Te-Si-Ne-Fi）
癖の強い愛情表現をし合うわた婚内の名物カップルとして、この二人を想像した方も多いのではないでしょうか。実際、この2人の関係性は、それぞれ異なる価値観を有しながらも、互いに良い影響を与え合う良いものであることが分かります。
ENFPとESTJの関係性は「活性化関係」と表現されます。この関係性の人々は目指す方向性が基本的に一致することが多く、そこに至るまでの方法が互いに異なるものの、双方でやる気や良い影響を与え合うことが出来ます。つまり、高いモチベーションを維持し合える関係です。
タイプ名では外向性だけが一致している状態ですが、心理機能で見ると4つとも同じ心理機能を使用する関係性であることからも、活性化関係の人々が遠いようで近い関係性にあることが分かるはずです。
正清と茉由をパッと見たところ、両者の性格の違いははっきりしています。明るく多様な価値観をを認める広い心を持つ正清と、現実的でしっかり者のだけれど超ツンデレと言えるくらい自身の感情表現が苦手な茉由。
おそらく価値観はあまり合わない二人でしょうが、互いを認め合い、それぞれが出来ることに注力した結果、名門久堂家の家門を守り、彼らが立派に育て上げた息子に当主の座を引き継ぐことが出来ました。
それだけでなく、正清に叱られて本気で凹む茉由や、冗談でも茉由に不倫の可能性を口にされて床に崩れ落ちる正清の姿など、アツアツの二人が織りなすチャーミングなやり取りには思わず笑みが漏れてしまうほど微笑ましいものが数多くあります。
王道の恋愛を織りなす子世代の美世と清霞とはまた違った、変化球を投げ合いながらも最後にはしっかり受け止め合う正清と茉由の恋愛関係も非常に魅力的と言えるでしょう。
4. 久堂葉月（ENFP）×大海渡征（ISTJ）
- 久堂葉月：ENFP（Ne-Fi-Te-Si）
- 大海渡征：ISTJ（Si-Te-Fi-Ne)
この二人も、前述する香耶と幸次のカップルと同様に、互いの苦手や足りない部分を補い合える「双対関係」にあたります。恋愛関係を発展させるには最良の関係性とも言われます。
しかし残念ながら、葉月と大海渡の結婚生活は長く続かず、親権を大海渡に渡す形で離婚することとなってしまいました。
一説によると、ENFPとISTJは特に価値観のすり合わせに難しい局面が多いようで、精神的な問題が生じる可能性の高いカップルともされています。
確かに、何者にも縛られないような自由で開放性の高い性格で時代の最先端を行く葉月にとって、保守的で家で淑女として夫に尽くすことを望む大海渡及びその一族とは考え方が正反対であり、互いに受け入れることは難しかったと言えるでしょう。
一生懸命大海渡家の慣習に馴染もうとした葉月でしたが、その想いも空しく徐々に孤立を深め、遂には燃え尽きてしまいました。そんな彼女の様子を見るに見かねた大海渡は、愛するがゆえに葉月を自由にさせてやることを決意します。
そんな大きな決断をした二人でしたが、距離を置いたことで驚くほど関係性は改善されており、大海渡の開いたパーティーで親子睦まじく会話する葉月と大海渡の様子はよくある夫婦と変わらない愛情に満ちたものでした。
この2人の関係性からは、「愛の形は人それぞれであり、互いが受け入れることの出来る関係性を構築することの大切さ」を学ぶことが出来ます。
5. 甘水直（ENTP）×斎森澄美（INFJ）
- 甘水直：ENTP（Ne-Ti-Fe-Si）
- 斎森澄美：INFJ（Ni-Fe-Ti-Se）
最後に、夢の中でしか拝むことは出来ませんが、この二人の特別な関係性にも大きく胸を動かされた読者も多いのではないでしょうか。
ENTPとINFJは「幻想関係」にあたります。この関係性の特徴として、相手のことを理解出来る瞬間と理解できない瞬間が絶妙に揺れ動くことがアクセントとなって、互いに情熱を燃やし、心酔し合う傾向にあることが挙げられます。
ちなみにENTP×INFJと同様にネット上でよくネタにされる組み合わせENFP×INTJもこの関係性にあたります。すれ違っているように見えて謎に息があっていることから「いいコンビ」認定されている節がありますね。
甘水と澄美もまさに婚約者として恋の炎を燃やし合った仲で、特に甘水の入れ込み具合はハンパない状況でした。生来のサイコパスと言えるような殺伐とした甘水の心を開き、人を信じ、愛することを教えたのは澄美の際限のない人を思いやる気持ちでした。
しかし悲しいことに、澄美が甘水個人の幸せを願えば願うほど、甘水は澄美に執着し、ついには狂人と言えるような異常な野望と行動に身をやつすようになりました。
幻想関係は心の底から互いを理解し合うには長い時間を有するとされており、甘水と澄美も結局のところ、互いの本当の望みを理解出来ていなかったがゆえに、あのような悲劇がもたらされてしまったのかもしれません。
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